日本海の天然塩「笹川流れの塩」は3社もあった!新潟県村上市の塩めぐり

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新潟県最北端、村上市から山形県境にかけて続く「笹川流れ」。国指定の名勝・天然記念物にも指定されている、日本海屈指の景勝海岸です。
実はこの海、景色が美しいだけでなく「塩の名産地」でもあることをご存知でしょうか。

行きつけのスーパーで「笹川流れの塩」というパッケージを買って帰った数日後、別のスーパーに立ち寄ったら、まったく同じ商品名なのにパッケージも会社も違う「笹川流れの塩」を発見。
さらに別の店でも、また違う会社の「笹川流れの塩」に遭遇。調べてみると、笹川流れ沿いには塩をつくる工房がいくつも存在し、それぞれ別の会社が独自に製塩しているとのこと。
これは実際に見に行くしかない、ということで、新潟県内3つのスーパーで別々の会社がつくる「笹川流れの塩」を3種類集めたうえで、村上市の山形県境に近い製造元まで足を運んでみることにしました。

なお、今回訪ねた3社の中には、藻塩や昆布塩なども手がけているところもありますが、今回はいちばんシンプルな「日本海の海水100%で作られた塩」だけに絞ってご紹介します。
浮気せずに本命だけを見てきた、というわけです。

目次

笹川流れってどんな場所?

笹川流れは、村上市浜新保から寒川にかけて約11kmにわたって続く海岸線の総称。奇岩・怪岩が連なる景観は日本百景にも選ばれていて、遊覧船での観光も人気です。
このエリアの海水は生活排水などの影響が少なく、ミネラル豊富できれいなことから、古くから製塩に利用されてきました。

1997年に塩の専売制度が廃止されたことをきっかけに、笹川流れ沿いでは個人や小さな会社が次々と製塩業に参入。
今回紹介する3社も、まさにこの流れの中で塩づくりを始めた会社たちです。
同じ「笹川流れの塩」という商品名でも、会社が違えば製法もパッケージも味わいも変わってくるので、そのあたりも含めてじっくりレポートしていきます。

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今回訪ねた3つの「笹川流れの塩」

まずは3商品をざっくりご紹介します。同じ笹川流れの海水が原料でも、会社ごとに個性が出ているのがおもしろいところです。

①笹川流れの塩/(有)日本海企画(原信河渡店・150g・税別578円)

1つ目は、パッケージの製造者欄に「(有)日本海企画」と記載された「笹川流れの塩」。
村上市勝木に本社を置く会社で、原材料は「海水(新潟県笹川流れ)」、工程は平釜としっかり明記されています。

笹川流れの塩(日本海企画)パッケージ正面
笹川流れの塩(日本海企画)を器に盛ったところ

150g/税別578円

裏面には手書き風のメッセージも添えられていて、「最初はぜひこの塩だけで“お塩だけのおにぎり”を作って食べてみてください」とのこと。律儀な性格が伝わってきます。

笹川流れの塩(日本海企画)の裏面ラベル

この日本海企画さんが運営しているのが、村上市脇川にある直売所兼カフェ「笹川流れ塩工房 Salt&Cafe」。
工房の裏手に広がる笹川流れの海岸から直接海水をポンプで汲み上げ、その場で塩づくりをしているのだそうです。

笹川流れ塩工房 Salt&Cafeの外観

工房には直売所とカフェが併設されていて、名物という塩ソフトクリームをせっかくなので実食してみることに。
仕上げにパラリとふりかけられる塩、実は初めての組み合わせだったのですが、これが想像以上に美味。塩気がミルクの甘さをきゅっと引き締めてくれます。

海が見えるテラス席でいただいたのですが、写真を撮っている間に少し溶けてしまい、気づけば妙に”映え”を意識した一枚に。自分で見返して「誰?」と突っ込みたくなるような仕上がりでした。

海を眺めながら食べた塩ソフトクリーム

せっかくなので製造風景ものぞかせてもらいました。

平釜で薪を焚いて海水を煮詰める製造風景

店内には塩ができるまでの工程を説明したパネルも掲示されていました。
笹川流れの海水を汲み上げ→大きな水槽で不純物を沈殿→平釜で大量の薪を使って15時間ほど煮詰め→水面に浮いた一番塩「塩の花」をすくい、さらに煮詰めたものが「笹川流れの塩」→最後に藁で編んだ苞に入れて余分なにがりを落とす、という手間のかかる工程を経てようやく完成するそうです。

塩ができるまでの工程を説明したパネル

パッケージ裏には「1ℓの海水から18gしか作る事のできない手づくり海水塩です」とありました。
手間を知ってしまうと、あの小袋がずいぶん貴重に見えてきます。

ふと建物を見上げると、煙突にも堂々と「塩」の一文字。工房であることを、屋根の上からもしっかりアピールしてきます。

煙突に「塩」と書かれた工房の建物

ちなみに、この工房から車で5分の国道345号鵜泊(うどまり)大橋の南側には、テレビ番組『水曜どうでしょう』でいまや一流タレントの大泉洋さんが繰り広げた伝説的な一幕「だるま屋ウィリー事件」の舞台となった現場があり、今では全国のファンが訪れる“聖地”になっています。
びっしりと貼られたステッカーやミニチュアバイクが独特の存在感を放っていました。塩を買うついでに、聖地巡礼してみるのもおすすめです。

だるま屋ウィリー事件の一場面
水曜どうでしょう だるま屋ウィリー事件の聖地となったガードレール

②白いダイヤ/ミネラル工房(ウオロク緑店・100g・税別598円)

2つ目は、村上市中浜の「ミネラル工房」がつくる「白いダイヤ」。
こちらも笹川流れの海水を100%使用し、平釜でじっくり結晶化させる製法を採用しています。

白いダイヤ(ミネラル工房)パッケージ正面
白いダイヤを器に盛ったところ

100g/税別598円

「白いダイヤ」というネーミングがなかなか大胆ですが、パッケージには「越後最北端の都《村上》は、自然に囲まれ、海の幸・山の幸に恵まれた郷。日本海には雪どけの山水により豊富なミネラルが運ばれ、豊かな磯が育まれます。」と、村上の自然への愛情がたっぷり綴られています。

裏面のラベルには、原材料「海水(新潟県)」、内容量100g、工程は平釜ときっちり明記されています。
栄養成分表示(100gあたり)では食塩相当量89.5g、マグネシウム500mg、カリウム300mg、カルシウム140mgと、ミネラル分の多さが数字でも確認できました。
製造者住所・電話番号までしっかり記載されていて、隠し事のない潔さを感じます。

白いダイヤの裏面ラベル(成分表示)

製造元の様子も見に行ってみたのですが、残念ながら訪れた日は定休日。
それでも海沿いに「白いダイヤ 手づくり塩」という看板と、工房らしき建物を発見できました。
笹川流れ塩工房と同じように、工房の見学ができる日もあるようです。次こそは営業日を狙って訪ねてみたいところです。

ミネラル工房の外観(訪問時は定休日)

③笹川流れの塩/株式会社えん(YZマート・350g・税別688円)

3つ目も同じく「笹川流れの塩」という商品名。
裏面ラベルを確認したところ、製造者は株式会社えんで、村上市府屋に本社を置いていることが分かりました。工程欄にはこちらもしっかり「平釜」と記載されています。
実際に会社の住所の場所に行ってみたところ、建物の煙突から煙が出ていて、作業されている人もいたので、ここで製塩しているようですが、一般人が見学や商品購入できる施設ではなさそう。
興味深いのは、ラベルに「山形工房」として山形県鶴岡市温海の住所も併記されていたこと。
ちなみにこの山形工房は製塩工房と売店を兼ねていて、直売もしているのだそうです。
なので、興味がある方は山形工房へ足を運んでみてください。

笹川流れの塩 新潟県内の製造拠点の建物と煙突から出る煙
笹川流れの塩(株式会社えん)パッケージ正面
笹川流れの塩(株式会社えん)を器に盛ったところ

350g/税別688円

パッケージには「日本海遥かな恵み」「じっくり焚き上げ結晶化させた円やかな逸品」の文字と、赤い「吉」の印章のようなロゴ。
この「吉」マークの由来までは分かりませんでしたが、なんとなく縁起が良さそうな見た目です。
3商品の中でいちばん内容量が多く、350gとたっぷり使えるのも魅力。

笹川流れの塩(株式会社えん)の裏面ラベル

栄養成分表示(100gあたり)は食塩相当量88.5g、マグネシウム560mg、カリウム220mg、カルシウム630mgと、3社の中でもカルシウムの数値が飛び抜けて高め。
ラベルには「まれに小さい黒い粒が入っている場合がありますが、海水に含まれる藻や塩のかたまりなので品質上問題ありません」との注意書きも。
さらに「本品製造工場では、えびを使用した製品も製造しています」ともあり、まさかの黒い粒=エビ疑惑を持ってしまいましたが、正体は藻や塩の塊とのことで一安心です。

「笹川流れの塩」たちを実際に使ってみた

実際の料理に使ってみたいということで、梅干しづくり・茶豆・ステーキ・さんまの塩焼きの4パターンで試してみました。

梅干しづくりに挑戦

まずは王道、梅干しづくり。塩の甘みや角の取れ方は、梅干しにするとよく分かるといわれています。
①の裏面に書いてあった「まずは塩だけのおにぎりを」というアドバイスには背きつつ、自宅で収穫した完熟梅にたっぷりと塩をまぶして漬け込んでいきます。

笹川流れの塩で梅を塩漬けしている様子
完成した梅干し

食べてみた感想

できあがった梅干しは、角のない優しい塩味で、梅そのものの酸味と旨みがしっかり感じられる仕上がりになりました。
精製塩で漬けたときにありがちな、ただしょっぱいだけの単調な味とは違って、塩の甘みが梅の風味を後押ししてくれる感じがします。

黒埼茶豆にひとふり

新潟の夏といえば黒埼茶豆。ゆでたてに、笹川流れの塩をひとふりして味わってみました。

ゆでた黒埼茶豆に笹川流れの塩をふりかけたところ

茶豆本来の甘みに、塩のまろやかさが重なって、いつもの茶豆が一段おいしく感じられました。
今回の3商品はいずれも粒がやや粗めのタイプで、噛んだ瞬間にじゅわっと塩気が広がる、豆との相性のよい食べ方だと感じました。

ステーキにひとふり

せっかくなので、肉料理でも試してみることに。焼いたステーキを切り分けて、粗塩をぱらりとふりかけてみました。

ステーキに笹川流れの塩をふりかけたところ

肉の脂の甘みに塩の丸みが重なって、ペッパーだけのシンプルな味付けなのに、ちょっとしたレストラン気分を味わえました。
普段のお肉が、塩ひとつでここまで表情を変えるとは思っていませんでした。

さんまの塩焼きにも

最後は王道中の王道、さんまの塩焼きで締めることに。焼く前にたっぷりとまぶしておいた塩が、皮に美しい霜のような模様を描いてくれました。

笹川流れの塩をまぶして焼いたさんまの塩焼き

皮はパリッと香ばしく、身はふっくら。塩の角が取れているぶん、さんま本来の脂の甘みがまっすぐ伝わってきます。
気づけば骨まわりまできれいに平らげていて、思わず「今日いちばんの功労者は君だ」と塩に語りかけたくなる出来栄えでした。

3つの塩の特徴まとめ

  • ①笹川流れの塩(日本海企画):薪炊き平釜製法。運営する笹川流れ塩工房にはカフェも併設され、塩ソフトクリームも味わえる
  • ②白いダイヤ(ミネラル工房):ミネラル成分が数値で明記されており、栄養面の裏付けが分かりやすい
  • ③笹川流れの塩(株式会社えん):3商品の中で最も大容量の350g。新潟の会社ながら山形の工房でも製造
  • いずれも日本海の海水100%を原料とし、平釜でじっくり煮詰める昔ながらの製法を採用
  • 同じ笹川流れの海水を使っていても、会社によって結晶の大きさやパッケージの個性がまったく違う
購入場所①原信河渡店
②ウオロク緑店
③YZマート
値段①笹川流れの塩(150g)
¥578(税別)

②白いダイヤ(100g)
¥598(税別)

③笹川流れの塩(350g)
¥688(税別)
製造・販売元①(有)日本海企画
新潟県村上市勝木63-2

②ミネラル工房
新潟県村上市中浜1076-2

③株式会社えん
新潟県村上市府屋字上田669-1

どこで買える?

  • 新潟県内の多くのスーパーで取り扱いあり
  • ただし店舗によって置いてある会社が違うことが多く、①〜③すべてが同じ店で揃うとは限らない
  • ①〜③とも、現地の直売所(①笹川流れ塩工房 Salt&Cafe/②ミネラル工房/③山形工房)でそれぞれ購入可能
  • 楽天市場などの通信販売でも購入可能(記事内のリンクからどうぞ)

まとめ・個人的な感想

同じ「笹川流れの塩」という商品名でも、会社によって製法へのこだわりやパッケージの見せ方がこんなに違うのかと、パッケージを読み比べてみて改めて驚きました。
①・②・③の3社すべてに実際に足を運びました(②はあいにく定休日でしたが)。笹川流れの海沿いに立つだけで、なぜこの土地で塩づくりが盛んなのかが肌で分かる気がしましたし、③の会社では実際に煙突から煙が上がる様子も見られ、確かにここで塩づくりが行われているのだと実感できました。
普段何気なく使っている塩ですが、産地や作り手に目を向けてみると、意外と奥が深いジャンルだと感じます。

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おすすめポイント

  • 精製塩に比べて角のないまろやかな味わいで、料理の素材そのものの甘みや旨みを引き立ててくれる
  • 梅干し・茶豆・ステーキ・焼き魚と、どんな料理にひとふりしても失敗しにくい懐の広さがある
  • 会社ごとに製法やパッケージのこだわりが違って、食べる前から読み物として楽しめる

おすすめできないポイント

  • 手間ひまかけてつくられている分、精製塩と比べるとどうしても価格は高め
  • 店舗によって取り扱いがバラバラなので、目当ての1社を探して何軒もはしごする羽目になることも

同じ「笹川流れの塩」なのに、スーパーによって置いてある会社がバラバラなのがまた面白いところ。次に別のスーパーに立ち寄ったら、まだ見ぬ4社目に出会えるかもしれません。

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